YOU&ME International School Bangladesh

 NPO法人YOU&MEファミリー

YOU&MEストーリー

はじめまして

みなさん、こんにちは。YOU&MEインターナショナルスクール校長の、玉木由美です。2007年8月、バングラデシュのガジプールという村に小さな学校を作りました。
現在、幼稚園2学年と1~10年生の350名以上が学んでいます(2021年現在)。 現地のスタッフも教員16名、スタッフ7名となりました。
「バングラデシュに行こう!そして学校を作ろう」。
そんな願いを与えられたのは、2006年6月のことでした。大きな試練の後、考えた末に、それまで長い間続けてきた教師の仕事を辞め、私はたった一人でバングラデシュへ渡りました。
そこで現地の人々との不思議な出会いを繰り返し、ついに、あるキリスト教牧師夫妻と出会いました。彼らの願いとわたしの願いが一致し、一緒に学校を作ることになったのです。

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バングラデシュとの出会い

2004年。それまで、東京の中学校英語教師として順調に生活してきた私に、突然、ガンが発覚しました。幸いにも初期段階だったのですが、しかしガンという大きな病。手術、放射線、と治療が始まりました。その間、「なぜ?なにも私がこんな病気に?」という思いと共に、今までの自分の人生を振り返り、そして後悔しました。「これからの自分の人生は、もっと人のために生きたい。」そう思うようになりました。でもその時は、自分がこれから何をしていきたいのか、何が出来るのか、具体的には見えませんでした。でも今振り返ると、この時が、バングラデシュへの道のスタートだったのだったのかもしれません。

そんな中、治療を進めている間のことでした。私を支えてくれていた、励ましてくれていたはずの夫が、亡くなったのです。その時から、「彼は生きていたら何がしたかったんだろう。」と考えるようになりました。
葬儀の後、彼の書斎にある本を片っ端から読みあさったり、彼の高校時代からの日記などを探しあてて読んでみたり…。そして、彼は将来日本を出て、とくに「貧しい方々と共に生きる」ことを願っていたことがわかりました。
彼の人生は「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイによる福音書25章40節)に表されていたと思います。つまり、彼はいつも社会の中で最も弱い人の立場になって考え、弱い人の中にこそイエスさまがいることを見いだしていたのです。 夫が亡くなってから、わたしは彼の生きざまを理解できるようになりました。
葬儀の数日後、彼がわたしにくれた手紙が出てきました。それは3度目のバングラデシュ訪問の帰りの飛行機の中で書いてくれた手紙でした。
彼は海外ボランティアに関心が高く、多くの途上国を訪問していました。「バングラデシュの人は、人とのつながり、とくに家族を大切にしているんだ。僕も家族を大切にしたいとここに来て強く思うようになった。いつか僕と一緒にバングラデシュに行ってくれ。それがいつになるかはまだわからない。その日が来るのを共に祈ってほしい。」そんな内容のものでした。
その手紙は、確かに10年前にもらっていたものの、机の隅にしまったままでした。それが、本当に偶然に葬儀の後にわたしの目に飛び込んできたのです。その手紙を読み終えたとき、わたしの涙は止まり、わたしの心は、新しい自分の人生、バングラデシュに向かい始めたのです。
「バングラデシュに行こう! そこで何かしたい。でも、こんな私に、何ができるだろうか?そうだ、悲しすぎて、忘れてた。そういえば、私、教師をやってたんだ。教育こそが、国を発展させる最も大切なものだ。自分のキャリアを生かした教育という分野で、私はこの国に挑戦できるかもしれない。そうだ!学校を作りたい!!』人生最大の、大きな決心。大きなチャレンジでした。

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いざ、わが故郷バングラデシュへ

さて、そう決心したわたしは、日本での教師の仕事をやめる決意をしました。当時は中学3年の担任でもっとも忙しい中でしたが、何とか彼らを卒業させ、長年続けた愛すべき自分の仕事にピリオドを打ちました。
そして、間髪いれずにすぐに一路バングラデシュへ。その頃には、もうバングラがまるで自分の故郷のように感じ、懐かしい場所に帰るような、懐かしい人に会いに行くような、わくわくした気持ちでした。

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ワハブ牧師夫妻との出会い

たった一人で飛行機に乗り、行ったこともない国、全く知らない国、バングラデシュに行きました。そこで、現地の方々と不思議な出会いを繰り返し、次々に人々の温かい輪が広がっていきました。
そして、ついにワハブ牧師夫妻と運命的な出会いをしました。わたしは、ワハブ夫妻に、自分がなぜこのバングラデシュに来たかを説明しました。その話が終わるころには、夫妻も、娘さんたちも一緒に泣いてくれていました。そして、私の話を聞き終えたとき、奥さんのリナさんが言いました。「わたしはあなたを5年間待っていましたよ。わたしは、わたしの土地で学校を開きたいとずっと願っていました。でも一人ではできません。一緒に働いてくれる、クリスチャンの女性、そして教育のプロである人材、そんなパートナーが与えられるようずっと祈り続けてきました。今、やっと出会えましたよ。ユミさん、一緒に学校を作りましょう!」
ワハブ牧師夫妻は、15年前にガジプールという村に大きな土地を購入し、イスラム教の中でのキリスト教伝道の場として、そこで活動を行ってきた牧師夫妻です。イスラム教が国教であるこのバングラデシュという国で、かなり苦難の道を通ってきたそうです。当初は自宅を放火されたこともあったそうです。けれども、今はすっかり地域の中に溶け込み、キリスト教伝道の場所となっています。その建物を借りて、いよいよ学校を始めることにしました。

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YOU & ME の誕生

さて、ワハブ牧師の礼拝堂を借りて、学校の開校準備を始めました。テキストを揃え、大人用の椅子を丸く並べ、スタッフと打ち合わせを重ねました。また、このスタッフで地域を歩き、1軒1軒訪ねては「学校ができますよ」と説明しました。
さて、学校の名前はどうする?ということになりました。わたしの名前は由美ですが、バングラデシュではこのユミという名前がとても評判がよく、「オー!! トゥミ・アミね!」とみんながすぐに覚えてくれます。トゥミとはベンガル語でYOU、アミとは I のこと、つまりYOU & ME、「あなたとわたし」という意味です。そこで、学校をYOU & MEインターナショナルと名付けました。バングラデシュ人と日本人。先生と生徒。リナとユミ。いろんな「あなたとわたし」という意味を持つ、YOU & MEインターナショナルスクールが誕生したのでした。

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初めての授業

2007年8月11日。いよいよ初めての授業の日がやってきました。いったい何人集まるんだろうと、ドキドキしながら礼拝堂で待っていると、裸足の26人の子どもたちとそのお母さんたちがやってきました。そこで、私が最初の英語の授業をしました。今まで学校に行ったことのない子どもたちでしたが、ためらいながらもとても楽しんでいました。その日からYOU & MEインターナショナルスクールが誕生しました。学校の建物もない、教室も机もない。礼拝堂からのスタートでした。
授業の後、お母さんたちを集めて学校の趣旨を話しました。毎日午前9時~11時。月謝は毎月100タカ(日本円で約150円)。休日は金曜日。当面の授業は英語、ベンガル語、算数の3教科。次第に授業の内容を増やしていくこと、時々母親集会を開くこと、などを説明しました。
わたしが滞在している間は1人で授業をしていましたが、いったん日本に帰らなければなりません。その後の授業と運営をスタッフたちに頼み、後ろ髪をひかれながら日本へ戻ることになりました。

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12月、ふたたびバングラへ

2007年12月。わたしは再度YOU & MEインターナショナルスクールを訪れました。いったい学校はどうなっているのだろう。電話やメールで現地の様子を聞き、スタッフがみんながんばってくれていること、順調に前進していることなどは分かっていましたが、不安でした。
ドキドキしながら教室に入るわたしを、子どもたちがいっぱいの笑顔と拍手で迎えてくれました。教室は独立していました。礼拝堂で間借りしたままでは支障があるだろうとワハブ牧師が事務所を提供してくださり、教室に改装していました。そして、そこにはかわいらしい小さな机と椅子が並べられ、生徒たちがうれしそうに座っていたのです。確かに学校は前進していました。学校は生きているのです。この子どもたちとともに。

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新校舎完成

YOU&MEの最初の授業は、ワハブ牧師の礼拝堂でした。でも、そこは礼拝堂。いつまでも教室として借りているわけにはいきません。すぐに、近くのワハブ牧師の事務所を教室として借り、そこに引越しをしました。 でも、この広大な土地に、YOU&MEの校舎を建てたい!! それがリナと私の夢でした。
日本に帰って、すぐにYOU&ME 第1号を作り、友人たちに配りました。すると、心ある友人たちから、またその友人の紹介から、少しずつ献金が集まりました。その額は、最終的に私たちが当初予定していた、新校舎の必要見積額と、ちょうど同じ額だったのです! 鳥肌が立った瞬間でした。
そして、2008年8月、ちょうどYOU&ME創立1周年のとき、新校舎の落成式を行いました。でも、その落成式にも、校舎は建ったものの、屋根や窓はまだありませんでした。屋根や窓がない教室でしてが、楽しく授業をしました。その後、少しずつ、屋根、窓、ドア、扇風機、電気線、など少しずつ加えていきました。私たちの一番大切にしているものは、生徒であり、教育の中身です。建物が一番大切ではありません。でも、だんだん教育環境が整えられてきました。

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YOU&MEは 今

現在、10年生までが学んでいますが、現在は地域の中で人気校に成長し、300名以上の生徒が学んでいます。ガジプールの中での文化の拠点となっています。貧しい子供たちに、世界一の教育を与えたい。それがYOU&MEの願いです。世界一とは言っても、他の国と比べたり、他の学校と比べて相対的な一番という意味ではなく、目の前にいるこの生徒達に、自分達のできる精一杯の最高の教育を与えたい、という、絶対的な意味での世界で一番の学校です。
今、YOU&MEの意味を改めて問いかけてみます。たった一人でバングラに渡り、一つの家族と出会いYOU&MEを設立しました。それ以来、バングラでも日本でも、たくさんの素敵な出会いがあり、たくさんの方に支えていただきながら、今も小さな歩みをさせていただいています。この、今までの目に見えないけれど温かなつながりこそが、YOU&MEの財産であり誇りです。私は今、亡夫の導きによって、新たな人生のパートナーを与えられましたが、今後も変わらずに歩んでいきます。皆様と共に、これからもバングラデシュの、そして世界の子ども達の未来のために、世界一の学校を目指して、歩んで行きたいです。

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公開日:
最終更新日:2021/03/02